【1985年 新任教師Mからの手紙】その8 カッコイイおじさんにになりたいので

ギターを弾くおじさんのイラスト 1985 新任教師Mからの手紙

11月24日

 相変わらず、休みごとに自転車を走らせています。奈良の東大寺の紅葉は最高でした。昨日は東大寺→薬師寺→唐招提寺→平城京跡のコースでした(いつも同じパターンなのですが)。

 今度、自転車に乗れるのは多分、期末テスト、三者面談、通知票作成が終わってからのクリスマス以降になるような気がします。

 今回、西大寺の近鉄百貨店の地下で、焼きそばセットとハンバーガーセットを買い、自転車に乗って人混みの中から逃げ出し、平城京跡の広い芝生に寝そべって食べ、多少寒かったのですが、うとうとと眠ってしまいました。自然の中で食べて寝ることの快感を少しではありますが、改めて感じました。

 考えてみると、そろそろこちらはスキーのシーズンのようです。原則的にはできるだけたくさん楽しいことをしたのですが、スキーはもう一つ乗り気になれません。もう少し様子を見ようと思います。

 この前、自転車屋に入ったら、40代くらいの男の人がめちゃくちゃカッコよくきめて自転車に乗っているのを見ました。今度金が余ったら、どうしても自転車用のシューズやパンツを買おうと決心しました。

 高校の時にギターを一緒に弾いていた友人の弟さんが、今、教育実習に来ていて、何年かぶりにそいつの家に入ってみると、友人の部屋がギターだらけでした。いまだに友人はハードロックばかり聴いているらしいのですが、表現の仕方は適切ではないかもしれませんが、友人の不器用さはなかなかのもので、それでも楽しいことが麻雀、パチンコ、ゴルフというやつらよりもリッチな感じがするのです。

 それにしても友人の部屋にあったギターは30万円クラスのものがずらりと並んでおり、すごいものです。いずれにしても、麻雀、パチンコのおじさんよりも、何かでカッコいいおじさんになりたいものです。

12月2日

 今日から期末テストが始まりました。これからクリスマスまでの期間、例によって学期末の忙しさに追われることと思います。

 1年生のテストの採点をする手を休めて、貴殿の手紙を読ませてもらいました。本当に哀愁もんの手紙でした。電話での最初の間の抜けた応答と、その後の一人での哀愁の時のコントラストが悲しいかな最高だと思います。突然電話なんかかかって来たら、涙さえ流しそうな気がします。

 学校に行く道を少し変えると、高田智子がバス停にいるという話をマサルから聞いてはいるのですが、未だかつてその道を通らないということはは、もうそれ以上、過去の哀愁に流されたくないと思っているからなのでしょう。

 最近、女性に対する感情に乏しいのは、例えば毎日、朝、これから始まる忙しい声の枯れる一日を目前に控えて、朝っぱらから哀愁にひたる余裕がないと、ひたすら職員室に急ぐという具合に、日々の生活に追われているような気がします。こんな事ではいかんと思いながらも。

 毎日生活していて、朝、職員室に入ってから家に帰るまで、例えば今日の一日を振り返っても、それなりに面白い事がいつくかあるのです。忙しさにかこつけて、それで満足してるのでしょう。

 今日のことで思い出しましたが、郡内の学校の職員の文化祭展というのが12月7日にあり、それに向け木津町の学校でも出し物を練習しているのですが、合唱に合わせて振付があり、それを今日やったのですが、まるでひょうきん族のフラワーダンサーズです。真剣に情けないのですが、面白がって真面目にやる嬉しがりもいるのです。困ったものです。

12月8日

 前回の衝撃的な電話からもう何日もたちましたが、その後、ストーリーはどのように展開したのでしょうか。

 京都はどうやら冬になったようです、今また学期末の忙しさの中で、昨日の誕生日なども頭の隅に忘れてしまっていたようで、何の感情もなく、過ぎ去ってしまいました。

 先週も今週も、日曜日に自転車に乗れずじまいで、ストレスが溜まりぎみなのですが、冬休みにでも誰かと山に行って目いっぱい焚火を焚いて鍋ものを作って、酒を飲んで…、というのをやってみたいです。  

 何もこれといって書くことのない今日この頃です。煩わしい毎日のスケジュールから解放されてサバイバルしたいです。