あんこう鍋を一度だけ食べたことがあります。もう15年以上も前のことです。那覇のそれほど大きくはないけど、こぎれいな会席料理の店だったかな、店名は忘れました。
確か、会社の同僚数名でいったはずです。
食べたのは食べたのですが、どんな味だったか、さっぱり覚えていないのです。
あんこう鍋の記憶
けっこういい値段だったはず。それに初めてのアンコウ鍋。「西のフグ、東のアンコウ」と言われている高級魚なので、食べる前からワクワクしていったはずなのに、よく覚えていないということは、好みの味ではなかったのかも。
もしかしたら、あん肝の味がだめだったのかなあ。こってり系はあまり好きではありませんから。カニみそもそれほど美味いとは思わないし。身の方が美味いでしょ。ウニもねぇ。
「ああっ! 今日はウニが食べたいっ」ってなることありませんもんねー。
「ううっ! 今日は刺身が食べたいっ」ってなることは結構ありますよ。
だから、アンコウやウニが獲れなくなって、食べられなくなっても、個人的には別に困ることはございません。
と、こんなことを言っては、アンコウが名物の茨城や漁獲量日本一の下関の方々から「何言ってんだぁ! お前ぇ!」と御叱りを受けるに違いありませんし、ウニの水揚げ産地の方々からも白い目で睨まれそうなので、謝罪申し上げ、撤回します。
すみません、アンコウ並びにウニがいなくなって食べられなくなってしまったら、好きな方にとっては大問題です。生態学的にも大問題です。これからもなくなりませんように願っています。
アンコウがもしいなかったら、相撲の力士の体型を表す「あんこ型」という言葉もなかったわけですからね(ちなみに私はあんパンに入っている“あんこ”とばかり思っていました・・・)。
チョウチンアンコウのオスはメスの体の一部になる!?
ところで、食用のアンコウはメスがオスよりも大きくて、市場に出回るのはほとんどがメスなのだそうですが、さらに深海に生息しているチョウチンアンコウは、メスとオスが別の魚じゃないの、というくらい極端に大きさが違います。
どれくらい違うかというとオスはメスの約10分の1ぐらいといいますから、メスを土佐犬とすればオスはチワワくらい、ということになりましょうか。
大きさの違いでもビックリですが、もっとビックリなのが、その生殖行動です。
チョウチンアンコウは光も届かない真っ暗な深海で暮らしていますので、目で相手を探すことはできません。
オスは、メスが出すフェロモンをたよりにパートナーとなるメスを探しまわります。
そんでもって、メスを見つけたオスは、いきなりメスのお腹に噛みつきます。まあ、真っ暗な海の中で、苦労して見つけたんだから、そうしたくなるのも分かりますよ。
ビックリする準備はできましたか?
いいですか、ここからですよ。あのですねー、噛みついたオスはですねー、そのままじわりじわりとメスに吸収されていくのですよ。つまりメスの体の一部になってしまうわけですねー。
人間が苦労して臓器移植の技術を開発しているというのに、チョウチンアンコウはいとも簡単に別の個体同士が融合してしまうんですよ。拒否反応もなしに。いったいチョウチンアンコウの免疫系はどうなっているのでしょうか。
これが解明できれば、ノーベル賞ものではないでしょうか。
体がくっついていますから、栄養もメスからもらいます。最終的には目とか内臓も退化し、残るのは生殖器のみ。
これを究極のヒモ状態という人もいますが、ヒモどころではありません。ヒモは一応体は独立していてますから。これをヒモ状態というのは、ヒモに失礼です。ヒモだってアイデンティティがあるはずです。
生殖器だけのこるというのは・・・、あ、まずい、頭の中にいらんイメージが沸いてしまいました。
チョウチンアンコウじゃなくて○○チンアンコウ、あっと、文字にしてしまったらマズいです。
吸収されてしまったオスにははたして、オスとしての意識というか、意識はないか、本能というか、感覚というか、そういうものは残っているのでしょうか。たとえば、オスだった部分をツンツンつつくと、そこだけピクッと反応するとか。実験した研究者はいるのかなあ。
融合してしまうのは嫌ですけど、アンコウの仲間には繁殖期だけオスがメスにくっつくのもいるらしいので、もしアンコウになるとしたら個人的にはそっちの方がいいなあ。
いろいろと考えさせられるアンコウなのでした。
というわけで、このチョウチンアンコウ・ウインナーもメスということになりますね。
チョウチンアンコウウインナーを作ってみた
材料
- 胴体 → ウインナー
- ヒレ → ニンジン
- 目 → 黒ゴマ
作り方
ポイントは、頭の後ろにあるチョウチン型のヒレと、上向きのでかい口。ニンジンで作った魚をくわえさせてみました。
お腹にオスをくっつけていれば、これをネタに息子との蘊蓄合戦が始まったことでしょう。
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