前回「ガボラ」の投稿の中で、「ガボラが地面の中でヒレを閉じた状態で、どのようにしてウラン鉱石を食べるのか?」という疑問について書きました。
ヒレを閉じて顔を隠しているわけですから、自ら掘った穴の中では狭くてヒレを開くことはできないんじゃないか、と私は思ったわけです。
そのことを息子に聞いてみると、あっさり次のような答えが返ってきたのです。
「前足で掘って穴を広げてるんじゃないの」
うわっ、なんでこんな当たり前の事に気がつかなかったんでしょう。
別にヒレを閉じて尖がったところで穴を掘っているわけではないわなあ。
モグラみたいに前足を使わないと穴は掘れんわなあ。
私の考えが足りませんでした。
ジラースの名前の由来
ところで、ウルトラマン(初代)に出て来た敵怪獣に「ジラース」というヤツがいます。
私はてっきり、ゴジラです → ゴジラっす → ジラっす → ジラース とばかり思っていたのですが、これも私の考えが浅はかでした。
息子とウルトラマンの『第10話 謎の恐竜基地』を観ていた時のこと。
あれ? この怪獣の顔、もしかしてゴジラじゃね?
そうだよ! 実は、ジラースの着ぐるみは『怪獣大戦争』のゴジラの頭と『モスラ対ゴジラ』のゴジラの胴体を合体させて、エリマキトカゲみたいな襟巻をくっけたんだって。
ふーん(…なんでそんな事まで知ってんの) 。
― DVD鑑賞中 ウルトラマンが登場し、ジラースの襟巻を手でむしり取る ―
あー、やられたかぁ。なんか、けっこうあっさりやられたけど。確かに襟巻とったらこいつ、ゴジラだ。
着ぐるみは東宝から借りてるからさ、襟巻外す手間がはぶけたね。
名前も、ゴジラのジラから来てんのかな?
なんかそれっぽいよね。
と、二人とも単純に考えていたのですが、後から調べてみると全くの見当違いだったのです。
『第10話 謎の恐竜基地』の脚本を手がけたのは沖縄出身の脚本家・金城哲夫。かれは沖縄の言葉で「次郎叔父さん」を意味する「次郎主(ジラースー)」から怪獣の名を「ジラース」と名付けたのです。
もしかしたら、次郎という名前の叔父さんが実在していて、その人の顔がジラースに似ていたのかも。
もしかして、太郎という叔父さんだったら「太郎主(タルースー)」→「タルース」になっていたかも。
もしかして、三郎という叔父さんだったら「三郎主(サンラースー)」→「サンラース」になっていたかも。
ん? ケンタッキー・フライドチキンの創始者は三郎叔父さん(サンラースー)だったのか?
調べたついでにいうと、ウルトラセブンに出て来た「キングジョー」というロボット怪獣は、金城哲夫のお父さんのあだ名が元になっているそうです。
同じくウルトラセブンに出て来た「チブル星人」も金城哲夫のネーミングですね。「チブル」とは沖縄の言葉で「頭」の意味ですが、確かチブル星人は頭がでっかいタコのような宇宙人でした。
円谷プロ後の金城哲夫
金城哲夫は黎明期の円谷プロで『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』といった第1期ウルトラシリーズの企画立案、脚本を手掛けました。
彼がいなかったら、ウルトラシリーズは生まれなかったと思いますね、私は。
かく言う私も、金城哲夫のことを知ったのは、沖縄に来てずいぶんたってからのこと。新聞の書評欄で『ウルトラマン昇天 ―M78星雲は沖縄の彼方』という本が紹介されているのを読んで、
「え?! そうだったの!! 子どもの頃、夢中になって観てたウルトラマンの脚本は沖縄の人が書いてたの?!」
という、ウルトラマンと沖縄というイメージがなかなかつながらなくて、「え? あの人が?!」みたいな想定外の驚きを覚えたのです。
早速買って読んだあと、自宅の本棚にしまったはずなのですが、今のところ見つかっておりません。そもそも、本を買ってから2回引っ越ししていますので、残っているのかも不明です。出てきたら、もう一度読み直そうっと。
というわけで、ネットの情報をもとに書いているのですが、金城哲夫は1976年、37歳という若さで亡くなったんですね。私が沖縄に来る3年前ですよ。
亡くなる7年前の1969年に円谷プロを辞めて沖縄へ帰っています。
円谷プロを辞めた理由については、「ウルトラセブン」以降、円谷プロが制作した番組の視聴率が低迷したことによって経営状況が悪化、リストラの中で金城哲夫はシナリオライターではなくプロデューサーに専念するように迫られたため、といわれています。
帰郷したのは、ゆっくり小説を書くため、と本人が語ったとも言われていますから、書くことへの想いが強かったのでしょう。
沖縄に帰ってきた金城哲夫は、ラジオドラマや沖縄芝居の脚本を精力的に書く一方、沖縄のテレビ番組の司会や、沖縄海洋博のイベントの構成・演出などでも活躍しました。
ところが1976年2月23日の夜、泥酔した状態で自宅の離れの2階にあった仕事場へ窓から直接入ろうとして足を滑らせ、転落。病院に搬送されましたが、3日後の2月26日に脳挫傷のため亡くなったのです。
南風原町津嘉山に金城哲夫の実家があります。離れの二階の仕事部屋だったところが、現在、「金城哲夫資料館」として、一般に公開されています。
私も「ぜひとも息子に見せないと」と思い、家族で訪れました。
中には、たくさんの書籍、資料、金城哲夫が手掛けたシナリオなどの他、机の上には訪れたファンが置いていったというウルトラ怪獣のフィギュアがずらりと並んでいました。
資料やらフィギュアを食い入るように見ていた息子に、感想を訊いてみると、
「怪獣のフィギュアが欲しくなった」という答え。
実は私も密かにフィギュアが気になっていたのです。血は争えませんね。
ジラースのフィギュアがあったかどうか覚えていませんが、名前の由来を勘違いしてすみません。資料館には飾れませんが、ジラースウインナーを金城哲夫に捧げます。
ジラースウインナーを作ってみた
材料
- 胴体・頭 → ウインナー
- 手・足・尻尾・襟巻 → ニンジン
- 目 → スライスチーズ
- 瞳 → 海苔
作り方
作り方のポイントは、以前作ったゴジラウインナーにニンジンで作った襟巻をくっつけただけ、のように見えますが、頭と胴体のつなぎ方が違います。ゴジラは胴体の切断面と頭部の曲面部分が接触してしますが、ジラースでは胴体の切断面と頭部の切断面を合わせる形でその間に襟巻を挟んでいます。
考え方は着ぐるみと同じですけど。
ただし、東宝さんに返却する必要はありません。
道具・パーツの作り方・組み立て方についてはこちら。