「がっぱいひっぱい」劇場、始まりのはじまり

プロローグ

 還暦なんて、まだまだずっと先のこと、と思っていましたが、気が付くと今年の5月、満60歳の誕生日を迎えてしまいました。日にちにして2万1,915日、時間にして52万5,960時間、分にして3,155万7,600分、秒にして18億9345万6,000秒。

 数字だけ見ると太古の昔のシアノバクテリアか、はたまた先カンブリア紀のアノマロカリス、あるいはネアンデルタール人…。

 今時、60歳といっても若い部類にはいるのでしょう。

 私の母方の祖母は103歳でなくなっていますので、もし自分が同じくらい長生きするとしたら、あと約40年あまり。40年というと、大学を卒業して就職した人が定年まで働く年月にあたります。

 そういえば、カーネル・サンダースが「ケンタッキー・フライドチキン」のフランチャイズ事業を始めたのは60歳を過ぎてからですし、江戸時代の伊能忠敬は日本の国内地図を作るために測量の旅を55歳から70歳前後まで続けています。還暦を第二の人生の始まりと考えると、二人にはおよびませんが、自分にも何かできるのではないか、という意欲が私にも湧いてくるのでありました。

 実は一年前、59歳という中途半場な歳でサラリーマンを辞めました。それは、ぴったり60で退職したら、燃え尽き症候群になってしまうのではないかという恐れと、元号が平成から令和へと変わったのだから、ついでに自分も変わってやれという、やや破滅思考の混じった変身願望と、60歳までの一年間を第二の人生の準備期間にしようという考えからでした。

 その第二の人生の第一歩として、ブログを始めようと思いたち、まずはWEB制作の教室に通うこと3カ月。自分の子ども、下手したら孫ほどの年代の”同級生”に囲まれて、老眼でぼやける教科書の小さな文字を睨みつつ、ばね指で時折曲がったままになってしまう両手小指を反対側の手で伸ばしてはキーボードを叩くというポンコツおやじではありますが、なんとか目標の「WEBクリエーター スタンダード」という検定に受かったのでありました。

 検定に受かったといっても、すくにHPやブログが作れるわけではありません。最近はWEBの知識がなくても、すぐに始められるサービスがありますが、私としては、ある程度こだわりのあるブログを開設したいと考えていましたので、その後も本やWEBなどでブログについて調べたりしつつ、コンテンツやネタを考えていたのです。

テーマとコンセプト

 ブログ名の「がっぱいひっぱい」とは、沖縄の言葉で「凸凹」の意味です。私はこれまで、波乱万丈とは程遠い平凡な人生を送ってまいりましたが、日常生活のなかでも小さなごたごたや揉め事、仕事の成功、失敗、喜び、悲しみ、感動、落胆などなど、様々なことがありましたし、誰もが大なり小なりの凸凹を経験するはずです。そんな、これまでの凸凹やこれからの凸凹を、カタカタとキーボードを凸凹させながら記していきたいなと考えている次第です。

 「みんたま坊主」の「みんたま」とは沖縄の言葉で「目玉」の意味です。つまり「目玉坊主」。私は「ゲゲゲの鬼太郎」のテレビアニメは第1シリーズ(1968年~1969年)から見ている世代ですから、目玉おやじには子どもの頃から親しみがありますし、いろんなことを知っている目玉おやじは、私の理想の父親像でもありますから、半分は目玉おやじにあやかっています。残り半分は頭がマルガリータということ。

 そんなわけで、ブログ名もハンドルネームもドタバタ調のものになってしまいましたが、まじめにドタバタをやる、というのがコンセプトになりますでしょうか。あまり世の中のためになるようなブログではないことは確かです。

コンテンツは、とりあえず「キャラ弁ウインナー」から

 といっても、ただ日常の出来事をグダグダ書くわけにはまいりません。私には最近のトレンド、と言われてもよく分かりませんし、今から新しいことを仕入れるのも面倒くさい。

 ただ、手持ちのネタでオリジナル性が高いものが一つあります。それは息子が幼稚園に通い始めた頃から弁当にいつも入れている「キャラ弁ウインナー」です。動物や昆虫など、これまでに150種類以上は作ってきました。

 残念なことに作り始めてからの100種類くらいの写真がありません。その頃はサラリーマンだったので、出勤前の限られた時間で他のおかずと朝食も作っていましたから、写真を撮る余裕がなかったのです。会社を辞めてから作った50種類くらいはちゃんと写真に撮っていますので、まずはその方から紹介したいと思います。以前の写真が残っていないやつも、再度作って紹介したいと考えております。幸い、作る前にいつも描いている下手くそなスケッチが残っておりますので。

ニンジンがキャラ弁ウインナーの幅を広げた?!

 キャラ弁ウインナーの代表といえば、タコさんでしょう。私も息子の弁当を作り始めた頃は、タコさんウインナーばかり作っておりました。しかし、いつもタコさんばかりだと、食べる方も作る方も飽きてしまいます。

 ほかに何かないかと、WEBで調べてみると、カブトムシ、クワガタムシ、ウサギ、クジラ、フクロウなどが、作り方とともに紹介されているではありませんか。さっそく真似て作ってみたところ、息子も大喜び。

 そうしていろいろ作っているうちに、はまってしまったのです! というか、もっと違うものが作れるのではないかということに気づいたのです!

 こうなると、朝4時に起きていそいそとゴルフや釣りに出かけるお父さんと同じで、朝早く起きて弁当のおかずも含めてキャラ弁ウインナーを作るのが苦になることはありません。それどころか、前の夜、布団に入ってから作る手順をイメージしながら「明日の朝が楽しみ~」と興奮してなかなか寝付けないこともしばしばありました。病気ですな。

 動物なら基本的な体のつくりはだいたい同じです。胴体があって頭があって足が4本あって、というように。昆虫も頭、胸、腹という体のつくりに足が6本という基本があります。それをおさえた上で、ウインナーだと、細かいところまでは表現できませんが、その動物なり昆虫なりの一番特徴的な部分を出せれば、雰囲気でこれはゾウだ、これはカマキリだ、と想像できるはずです。

 あと、キャラ弁ウインナーの幅を広げた最大の要因が、息子が大のニンジン好きだということ。ニンジンは薄く切ったり、細く切ったりしても形が崩れないので、動物の足や角、耳、昆虫の羽などのパーツを作るのに最適だったのです。

 ちなみに、どのくらい息子がニンジン好きかというと、学童クラブで飼っているウサギの餌として置いてあったニンジンを丸ごと1本、カリカリと食べてしまったほど。家でも、主食はニンジンかぁ?、というくらい毎日生のニンジンをカリカリとかじっています。

 もし息子がニンジン嫌いだったら私のキャラ弁ウインナーは生まれなかったことでしょう。

 基本的には毎回違うキャラクターを作っています。考えて作る方は大変ですが、弁当箱を開ける時、今日はどんな動物、昆虫が入っているかなというワクワク感がちがいますし、息子には楽しみながら弁当を食べてほしいからです。

 作る題材は息子が持っている動物、昆虫、爬虫類、魚類、鶏類などの図鑑を資料にして考えたり、最近は息子が興味を持っている妖怪や幻獣、恐竜、怪獣なども題材にしています。

 一発勝負なので、失敗作も少ならからずあります。セミを作ったのに、「でっかいハエが入ってたよー」と息子に言われたこともありました。わけがわからないものになっても、「なんかオレの父ちゃん、面白いもん作ってんなー」と息子が感じていればそれでいいと思っています。というか、父ちゃん本人が面白がって作ってるし。

 というところで、ぼちぼちと進めていきたいと思います。