お父さん、サイの角は何からできてるか知ってる?
サイの角はイボ?!
このような質問をする時は、大抵息子がどこかで新しい話のネタを仕入れてきたに違いありません。
サイの角? 角は角からできているんじゃないの?
「角は角」なんて答えになっていないなと思いながらも、そう答えると、息子はにーっと笑ったあと、私に顔を近づけて目を見開きながら、こう言いました。
サイの角はイボなんだって。イボ!
イボ? イボって体に出来る、あのブクってふくらんだやつ?
そう、そのイボ、って他にどんなイボがあるんだよ。
いや、あの、イボ痔とか…、あ、いや、いいけど。
イボ人? 何それ、どんな人だよ。
いや、だから今のは聞き逃して…。えーと、だからサイの角がイボって、誰が言ったの?
うかつに答えると、どんどん突っ込まれるので、ここは話題を元に戻します。
誰かが言ったんじゃなくて、本に書いてあったの。『ざんねんな生き物辞典』っていう本だよ。
あー、あの本か。
『ざんねんな生き物事典』とは
『ざんねんな生き物辞典』は2016年に出版された子ども向けの本で、動物たちのあまり知られていないちょっと残念な一面が面白く紹介されています。
息子が字を読めるようになってから、私は図書館から絵本や子ども向けの図鑑などを、2週間に10冊というペースで借りていました。でも強制的に読ませるのではなく、「本借りてきたよー」と声をかけて、息子が目に付くところにおいておくだけです。小さい頃から昆虫や動物に興味を持っていたので、図鑑類はよく見ているようだったので、そのうちに借りる本の半分以上は図鑑になっていました。
息子が小学1年の頃、図書館から借りてきた10冊の本の中に、たまたま『ざんねんな生き物辞典』があったのですが、これを読んだ息子が珍しく「これ面白かったから、また借りてきて」とリクエストしてきたのです。
そんなに面白い本なら買ってあげようと思い、早速Amazonで取り寄せ、プレゼントすると大喜び。一度読んでいるにも関わらず、熱心に読み始めたのでした。
『ざんねんな生き物辞典』は第1弾が出て以来、『続ざんねんな生き物辞典』(2017年)、『続々ざんねんな生き物辞典』(2018年)、『もっとざんねんな生き物辞典』(2019年)、『さらにざんねんな生き物辞典』(2020年)と毎年続編が出ており、シリーズ累計(2020年9月)で420万部を越えたベストセラーとなりました。
2018年にはNHK-Eテレでテレビアニメが始まり、さらに2020年10月からは東京テレビ系列でミニドラマが放映されているようです。
すごいな、『ざんねんな生き物辞典』。タイトルは「ざんねん」ですが、中身は、えーと、「残念」の反対だから「満足」? いやいや「大満足」ですわ。
私も読みましたが「どんな生き物でも完璧なものはいませんよ。だから人間も、完璧ではありませんよ。あなたも完璧でなくて当然ですよ」と、読むとなんかそんなことを言われているような気になってきます。子ども向けの本ですが、意外と大人に読まれているかもしれません。そうでないと420万部も売れないでしょう。
本の宣伝をしている場合ではありませんね。
「サイの角はイボ」の話でした。
息子は時々、何か思い出したようにして、以前に買った本や図鑑をゴソゴソと取り出してきて読んでいることがあります。
サイの角のことを何かのきっかけでふと思い出したのでしょう。で、読んでみたら面白かったので、お父さんに教えてやらねば、という流れで冒頭の質問になったと、私はみています。
サイの角は薬?!
「サイの角はイボ」を前提に、今度は私が息子に質問しました。
サイの角って、薬になるって知ってたぁ?
犀角(サイカク)っていう漢方薬があるんだけど。
えーっ! 薬って、何の薬だよ?
確か、熱を下げたり、毒の力を弱めたりするんじゃなかったかな。
角を飲むの?
角だからペロペロなめる、わけないよ。乾燥させたものを削って粉にして飲むんだと思う。
言っとくけど、イボだよ。イボを削って飲むの? げーっ!
おとうさんも、げーっ!だよ。
調べてみると、サイの角の主成分はタンパク質の一種であるケラチンで、人間の皮膚や爪、髪の毛もケラチンからできているそうです。もちろんイボも。
とすれば、犀角という漢方薬は極端な話、自分の爪やイボを削って粉にして飲んでいるようなことになるのでしょうか。間違ってたらごめんなさい。
ケラチンがタンパク質の一種だとすれば、もしかしたらサプリメントのプロテインと似たようなものなのでしょうか。
いずれせよ、犀角もプロテインも私には必要ありませんし。
ただ、犀角を作るために世界に生息している5種類のサイが密漁で殺されており、その結果絶滅の危機に瀕しているというではありませんか。
ホントに絶滅してしまったら、犀角関係者はどうするんでしょうね。ごめんなサイではすまないですからね。
高く売れるから密猟者がいるわけですが、おそらく金持ちのエンドユーザーにとって、犀角とはステータスなんでしょうな。
なので「サイの角はイボです。あなたはイボの粉を飲んでいるんですよ」と言っても、「だからどうした。サイの角はサイの角じぁ」と、聞く耳をもたないでしょう。
馬鹿に付ける薬はありません。
サイの密漁がなくなるように願いを込めて、サイウインナーを作ってみました。材料は以下の通り。
サイウインナーを作ってみた
材料
- 胴体 → ウインナー
- 足・角・尻尾・耳 → ニンジン
- 目 → 黒ゴマ
作り方
ポイントは、まずウインナーを2:3の割合で切り離します。短い方が頭、長い方が胴体になります。頭の方の切断面をさらに斜めに切り、3cmほどに折ったパスタ麺で胴体とつなぎます。ニンジンで作った二つの角も1cmほどに折ったパスタ麺で頭に挿します。耳を顔に挿し、黒ゴマの小さな目をつける一応サイの顔っぽくなりました。
サイウインナーの角は漢方薬にはなりませんので、煎じて飲まないでください。まあニンジンですから、βカロチンは含まれていますけどね。
希少価値でいえば、サイウインナーはおそらく世界でこの1つだけのはず。どうですか、だんな。安くしときますぜ。
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